芋焼酎お好きですか?
私自身、無類の酒好きであります。ビールやワイン、ウイスキーなどありますが、なかでも焼酎――とりわけ、芋焼酎が好きでしょうがありません。生まれが九州鹿児島ということもあり、芋焼酎には随分と慣れ親しんできました。今でも帰省の折には、街(地元では鹿児島市に行くことを「街に行く」と言っていました。他の方もそうなんでしょうか)にある、立ち飲み焼酎屋で一人お湯割りをちびちび飲んでいたりします。それほど、私にとって芋焼酎は生活の一部、細胞の一部といっても過言ではないわけです。
御存知の通り、焼酎にも色々な飲み方がありますよね。そのままストレート(生<キ>)でいったり、ロックグラスに氷を浮かべるスタイル、水や炭酸、お湯で割ったりなどなど。その中でどうしても言いたいことがあるわけです。
お湯割りの地位が低くない??
分からないわけではありません。お湯で割ることで湯気と一緒に芋焼酎独特の香り成分が揮発することで、いわゆる「芋臭い」というのが気になったり、あの独特の味が苦手だったり。あのパンチの強い感じがどうしても受け入れられない。
水割りや炭酸割りであれば香りの揮発は抑えられるわけだから、それだったら大丈夫だけど……そもそもお湯割りっていうのがおじさん臭くてということも。その気持ちお察しいたしますよ。ただしおじさん臭いというのは認めない。許さんぞ。
しかしですね、お湯で割ることの利点というのも確かに存在するわけです。それを踏まえたうえで「芋のお湯割り」に向き合ってほしい、そう思うのです。
こんな芋焼酎は水割り・炭酸割りがおすすめ
もちろん、すべての銘柄に対して、お湯割りを推奨しているわけではありません。
- フルーティーな香りや柑橘系の香りなど、華やかな香りのもの
- すっきりとした口当たりのもの
- 蒸留の過程で芋の香りが抑えられた、軽やかなもの
これらの特徴を持った焼酎は、水割りや炭酸割りのほうが美味しくいただけたりします。私も、上述のものであれば、炭酸割りを飲むことも多いです。
以前新橋の立ち飲み屋「吟」で呑んだDAIYAMEはその最たるものかと思います。あの、独特のライチ香を存分に楽しみたいときは、炭酸割りをお勧めします。
こちらの焼酎はお湯割り、炭酸割りどちらも楽しめました。
お湯割りのメリットとは
では、どのようなメリットが有るのかを、順にあげていきましょう。
1.香りの開花
あの芋独特の香りが苦手という方は多いのではないでしょうか。しかしあの香りこそが芋焼酎を芋焼酎足らしめている、私はそう思うのです。芋のあの、甘く、複雑な香りや酵母由来のフルーティな香りを最大限に引き出すには、水で割るよりもお湯なのです。「料理は五感で楽しむもの」といいます。それであれば、料理とニコイチであるお酒もまた、五感で楽しんではいかがでしょうか。ぐっと顔を近づけずとも、小中学生の科学の実験よろしく、そっと扇いでみる。それで十分です。
2.アルコールの低減とまろやかな口当たり
芋焼酎のアルコール分は大体どのあたりかご存知でしょうか。例えば、どの店にでもある、代表的な銘柄である「黒霧島」だと20度と25度の2種類、私の好きな「明るい農村」でも25度と、だいたい25度が一般的なようですが、天使の誘惑という焼酎は実に40度もあります(天使の誘惑はとろりとしていて結構美味しいのですが、カパカパあけているととんでもないことになります。みんなは気をつけよう!)。
ちなみに日本の国酒たる日本酒に関してはおおよそ15度程度とされています。なお、これは酒税法の関係上、清酒は22℃未満であることが決められていることにもよるとされています。
日本酒と比べて焼酎の度数は高いわけですが、これはお湯や水で割ることで調整することを、ある程度想定しているのではと考えています。度数が高いと言っても、自分の気分や体調に合わせて調整すればいいわけですね(体調が良くなければ、そもそも飲まないほうがいいわけですが)。加えてお湯で割っていることで、飲み口が穏やかになりながらも香りを楽しむことができる――一石二鳥どころじゃないですね。
3.ゆっくり飲むことができる
冷たくてもゆっくり飲むことは可能なので、メリットとしては弱いですが……。
敢えて利点をあげるならば「お湯で割るとゆっくり飲むことの強制力が上がる」ということでしょうか。熱いものを呷ることはそもそも難しいし、お湯で広がった香りがそれを邪魔しているわけですから、ゆっくり飲まざるを得ないわけです。ゆっくり飲むことで胃にも負担をかけにくくなりますし、アルコールの摂取自体を穏やかにすることができます。
ベストなお湯割りのつくり方は?
ここまでくると、いよいよ焼酎のお湯割りを飲みたくなる頃合いかと思います。
では、私的なお湯割りのコツを伝授しましょう!
1. 黄金比は「焼酎5:お湯5」から試す
焼酎と水分の割合は、お好みで調整するのが一番です。人によっては、焼酎6:お湯4をお勧めしてくるかと思いますが、まずは、焼酎5:お湯5ぐらいがおすすめです。銘柄によって香りの立ち方や味わいが異なるので、慣れてきたら焼酎を少し減らして軽めにしたり、増やして濃いめにしたりと調整してもいいでしょう。
2.お湯を先に、焼酎を後から
焼酎のお湯割りは、先にお湯をグラスに注ぎ、その後に焼酎をゆっくりと加えるのが基本です。こうすることで、お湯の対流によって焼酎が自然に混ざり合い、まろやかな口当たりになります。ちなみに、水割りだと焼酎が先がいいと言われています。どっちが先か迷ったときは
「おゆ」
「しょうちゅう」
「みず」
のように、50音順で先に出てくるほうを、先に注ぐと覚えておくといいでしょう。
3. 適温は「80℃」前後
熱すぎるお湯を使うと、焼酎の香りが飛びすぎてしまったり、アルコール刺激が強くなったりすることがあります。かといって、ぬるすぎると香りが十分に開かないこともあるため、焼酎の香りを最も引き出し、まろやかな味わいにするには、80℃前後のお湯がベストと言われています。
貴方もよきお湯割りライフを!
いかがでしょうか?
上にも書いた通り、最終的には自身の好きな飲み方で飲むことが、お酒と楽しく繋がるコツです。その、「楽しく繋がる」のなかに、お酒の良さを最大限に引き出す飲み方もまた、含まれていると考えています。
お湯割りの選択肢を飲み方の一つに加えることで、より楽しく繋がることができるのではないでしょうか
ここまでご覧いただきありがとうございました!