旅行けば千鳥足

北に美味い魚あれば冬に行き、南の焼酎飲みたさに帰省をし、西の良い居酒屋の噂を聞けばしこたま飲み食いをする。そういう人に私はなりたい

【半年前の記憶を辿る】真冬の富山で満寿泉とクラフトビールを味わう心のチャージ旅

時は遡って2025年1月4日――。半年前のことで記憶も朧げになりつつはあるが、ここに書き留めておきたい。

 

長かった冬季休暇も終りが見えてきた土曜の朝、私は北陸新幹線に乗り込んでいた。同じシェアハウスに住んでいる、私とちょっと合わない世帯が、数日の帰省が終わり明日から戻って来るとのことで、半ば逃避行のように住処を後にしていたのだ。

向かうのは真冬の富山である。

声優ユニット「スフィア」のファンをしていたときからだから、富山はもうかれこれ15年近く行っている。勿論年に1、2回なので言うほど多くはないかもしれない。が、第3の故郷と思っているほど思い入れは強い。ユニットのメンバーである高垣彩陽さんがフォトブックを出していなければ、ここまで通い詰めることはなかったかもしれない。サンキューアヤヒー。

北陸新幹線からの車窓。一面の銀世界

どの地点で撮影したか覚えていないが、あたり一面は白と灰の二元世界である。住んでいる現地の方々はほとほとウンザリしているだろうが、観光客にとっては降ってくれる方がありがたい。

新幹線は雪なぞ気にしないといった風に、スピードを出して雪景色を切り裂いていく。大阪までの延伸は不要といった声も聞こえるが、東海道新幹線が雪の度に遅延・運休しているのを見ると、あくまで個人的には必要なのではないかと思う(安全運転のための運休・遅延が悪だとは言っていないのでその点はご承知おきいただきたい)。

富山駅前。随分と新しい建物が増えた

富山駅前の降雪は、それほどでもなかった。当然ながら、人の影はまばらだ。

富山駅前からは富山地方鉄道の鉄道と路面電車が発車している。中でも路面電車は様々な行先の電車がひっきりなしにやってくるので、見ているだけでも楽しい。我が故郷・鹿児島にも路面電車が走っており、否応なしにも親近感が沸くというものだ。

いつもであれば、富山駅からあいの風とやま鉄道で高岡駅に行き、そこからバスで山間の五箇山へ行くのだが、今回は路面電車で岩瀬地域へ向かう。

岩瀬は江戸時代から明治自体にかけて、北前船の港町として栄えた地域である。現在も、以前の町並みを色濃く残しているとのことだ。現在は酒造りの街としても栄えている。

富山駅停留所は新幹線からも乗り換えしやすい

高架駅である富山駅と交差する形で、路面電車の停留所がある。雨や雪に振られることなく、スムーズに路面電車に乗れるのは、観光客にとってとてもありがたい。結構ひっきりなしに電車は来るので、日頃路面電車を目にしない方にとっては、それもまた、アトラクションの一つになるだろう。

電車に揺られること30分、終点の岩瀬浜駅に到着する。確か10時前だった気がする。この天気だからなのか、はたまたこの時間だからなのか、降りる客は私一人だった気がする。

岩瀬の町並み。石畳がいい味を出している

降りてからしばらくは雪も降っていたが、ふと気づけば止んでいた。鈍色の雲だけが、空に厚く伸し掛かっている。晴れていなくとも、これが北陸の冬の空だと理解していれば、なんということはない。これは現地に行かねばわからないと、常々感じている。

駅から歩いて10分ほどで、目的地に着いた。満寿泉の醸造元である桝田酒造店が運営する「沙石(させき)」だ。今更だが、終点の岩瀬浜までいかずとも、一つ前の競輪場前駅で降りたほうが1分だけ早く着くようだ。

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中は広く、奥に向かって伸びている。奥側にはカウンターと、酒瓶を保存しておくための冷蔵庫が鎮座している。先客が静かに試飲を楽しんでいた。ここは立ち飲みバーである。都度払いか、飲み放題のコースが有り、コースだと15分か30分どちらかを選ぶことができた(はずである)。迷うことなく30分の飲み放題コースを選択。

酒の友。飲み放題だからか、それとも購入したのか、覚えていないのが悔やまれる。

   

  

特に四杯目のシーバスリーガルの樽で熟成させた「8888 リンク」はかなり自分好み。試飲終了後に、こいつともう一本は購入。もう一本のほうは埼玉に戻ってからすぐ飲んでしまったが、「8888」のほうはなかなか化粧箱から出せない始末。今度折を見て、ブログにて共有するのでしばしお待ちを。

立ち飲みとはいえど、雪がしとしと降るさまを見ながらの一杯は、格別の一言。

タイマーから音がして、飲み放題は終了。実に興味深い30分となった。

エンジンがかかってきたところで、次いで2件目。ここから少し歩いたところにビアホールがあるようなので、そこに向かう。

 

国登録有形文化財である旧馬場家住宅をリノベーションした、クラフトビール醸造所を併設したビアパブだ。天井がとてつもなく高い。

確かテイスティングセットを頼んだ記憶が。左から、レッドエール、トリプルAラガー、ペールエール、IPA。それぞれの味は正直記憶にないが、レッドエールとIPAは自分好みだった気がしている。この時は10種類ほどの品ぞろえだった。

アテはパテとピクルス。ビールの麦の旨味と、パテの脂の旨味がよく合うし、ピクルスの爽やかな酸味もまた、邪魔をしない。自分は断然日本食派ではあるが、こういうときは海外の料理がうらやましく感じる。

追加で2杯ほど飲んで店を出た。地ビールは真冬に飲んでも旨いことを再確認。

その後は駅前の呑み屋で飲んだり、暗くなってから居酒屋で飲んだりしたが、あまり面白みがないので割愛。そういえば、駅前の呑み屋は昼の3時ぐらいだったがえらい混んでいた。誰も彼もが正装をめかしこんでいた。初詣の帰りだったのかしら。

シェアハウス用に購入したお菓子。この、越中富山の常備薬を彷彿とさせる形が好きで、富山旅行の際にはよく買って帰る。中には、おなじみの紙風船も入っていて、子供にも楽しんでもらえた。

富山はやはりいい。今年中にまた行きたいと思う。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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