旅行けば千鳥足

北に美味い魚あれば冬に行き、南の焼酎飲みたさに帰省をし、西の良い居酒屋の噂を聞けばしこたま飲み食いをする。そういう人に私はなりたい

越後湯沢で過ごす「何もしない」贅沢旅【2日目】

何もしない越後湯沢旅の二日目。

こちらの記事をご覧になる前に、下の過去記事も合わせて読んでいただけると。

www.tabitosake.com

www.tabitosake.com

何もしない旅 二日目の朝は朝風呂から

習慣というのは悲しいもので、何もしないことを目的としているのだから、ゆっくり寝ていればいいものの、1時に寝て、起きたのは5時だった。いつもの癖である。ごろごろしつつも朝風呂に入り、時間を潰す。

のっそりと起きて風呂へ向かう。先客は一人。露天風呂は昨晩よりも温度が上がっており、外気温との差が心地よい。体内の空気が徐々に抜けていくようだ。

朝食はバイキング。お決まりの朝食もいいけれど、個人的にはバイキングのほうがありがたい。食べたいものを食べられる分だけ食べる、シンプルだがこれがいい。

バイキングの朝食。手始めはこのぐらい

全体的な品数としては多くないようだった。ただ、この旅館の部屋数は16程度だそうで、あまりたくさん作っても、結局余らせてはしょうがないということなのだろう。これぐらいでも十分楽しめる。

左下のサラダに入っている、ブロッコリーに似たそれは、実はロマネスコ。自分は、ロマネスコをロマネスコと認識して食べたことはあまり多くないが、これは選んで正解だった。噛むと野菜出汁のような旨味がじんわりと溢れ出してくる。ブロッコリーほどではないが、食べごたえもある。これはいくつ食べても飽きないだろう。

「何もしない」は意外と難しい?時間にとらわれない旅の醍醐味

朝食を終わらせ部屋に戻った。布団上げを今回頼んでいないため、昨日使った一式は、畳に敷かれたまま。適当に畳んで隅の方へ追いやると、それを枕にするように、体を畳に投げ出す。天井の板目をぼうっと見ていると、外から家族連れの声やカートを引く音が聞こえる。この宿のチェックアウト時間は午前10時。朝食を済ませたと思ったら次はチェックアウトの準備と、なんだかんだとイベントごとは多い。人によっては急かされていると思うことだろう。

それがどうだ。自分は少なくとも、今日に限ってはチェックアウトの事を考えなくてもいい。時間に追い立てられることも、チェックアウト時間を過ぎてしまい、延長料金がかかるかどうかの心配もしなくていい。

「時間」というものに、自分は今、圧倒的優位に立っているのだ。

その後、畳の上でグダグダしたり、微睡んで時間を潰す。気づけば11時を過ぎていた。このまま無為に時間を消費してもいい。いいのだが、どうにも調子が出ない。当たり前だ。日頃はマグロよろしく、じっとしておくことが難しい人間が、今日に限って何もしないというのは、自分の習慣に逆らっていると言っても過言ではない。

しょうがない。申し訳ないが、「何もしない」を「予定に左右されない」に読み替えてもらうことにしよう。

ゆるゆると準備を始め、駅に向かうことにした。

二日目の天気。素晴らしい晴れ模様

昨日とは打って変わって、青空が広がっている。暑いは暑いのだが、地形のおかげなのかあまり不快には感じない。線路に沿うように歩いて10分程度、最寄りの駅についた。目指すはただひとつ、ぽんしゅ館だ。

コイン片手に日本酒を満喫! いざ日本酒パラダイスへ

www.ponshukan.com

受付で500円支払い、コイン5枚とおちょこを1つ借り受ける。各マシンにおちょこをセットし、必要量のコインを投入、ボタンを押すと、適量の日本酒が注がれる具合だ。

試飲マシンの一部。全部で100以上の銘柄が揃っている。

店内は複数の客がいたが、そこまでごった返してはいなかった。

これはあくまで試飲マシンの一部であり、全部で100以上の銘柄が揃っている。

どれを呑んでいいのかわからない人用に、案内も揃っている

どれを呑んでいいのかわからない人用に、案内も揃っている。また、各マシンにはそれぞれの銘柄の特徴が書いており、初めて飲む人に対しても親切だ。

自分は5枚では結局足りず、コイン10枚で7銘柄試飲した。その中でも、最後に呑んだ「麒麟 濃熟オールド」がツボだった。熟成酒特有の深い旨味と甘みが、口の中で暴れまわっている。飲みの締めにと製造元のウェブサイトには書いているが、これはいい意味で、飲みの締めにしか合わないような気がした。

昼には駅前のラーメンショップに行こうと思っていたが、構内を歩いていると、蕎麦屋ののぼりが目についた。刹那、予定変更。駅ナカの立ち食いそばで、山菜そばを食べることにした。

山菜そばの卵のせ

卵のせはトッピング。普通のそばに思うだろうが、この麺がいい。都会の立ち食いそばはそばを食べているのか、はたまたうどんを食べているのかわからない、白い麺もあるが、ここのはしっかり蕎麦の風味がする。

散りばめている赤いのは「鬼殺し」と呼ばれる唐辛子。実際に、通常の唐辛子と比べても数段辛く、この程度ふりかけただけでも「ちょっとかけすぎたか?」と思うくらいであった。

 

その後は旅館に戻り、昼寝をしたり風呂に入って時間を潰した。18時頃までこの記事を書きつつ、時間になったので、食堂へ向かう。

夕食はおそらく昨日と同じ献立だろうと勘ぐっていたのだが、席について、昨日とはがらっと変わっていたことには、いい意味で面食らった。少し変わっているだけでも、ありがたいものだが、まさか強肴まで一つも被っていないとは……少しでも楽しんでほしいといった、料理人の皆さんの思いを感じる。頭が下がる思いだ。

前日は異なるメニュー。とてもありがたい

前菜はトリュフフロマージュ、甘海老酒粕和、ラタトゥイユキッシュ。アミューズは北寄貝サラダ

メインはローストビーフとビーフシチューパイ。焼物は佐渡サーモンの西京焼き

どれも前日の夕食にも劣らない、素晴らしいものだったが、特にピッタリはまったのが、サーモンの西京焼きである。ぱっと見たときに塩焼きと何が違うのか、正直わからなかった。しかし、箸をいれると実にふっくらしており、口に運ぶと、味噌の風味が仄かにしてくる。己の中の西京焼きのイメージが、ぐるりとひっくり返された印象だった。

名残惜しいが、明日はいよいよ最終日。新幹線の出る18時前まで何をするか、私の真価が問われる……のか?

 

最終日の記事はこちらからご覧いただけます。

www.tabitosake.com

 

www.tabitosake.com