旅行けば千鳥足

北に美味い魚あれば冬に行き、南の焼酎飲みたさに帰省をし、西の良い居酒屋の噂を聞けばしこたま飲み食いをする。そういう人に私はなりたい

【ソトノミログ】宇都宮オリオン通りではしご酒する夜【3軒目:魚田酒場】

宇都宮はしご旅。いよいよ佳境の3軒目だ。これ以上無暗を軒数を重ねることは翌日にも影響するし、今後健康的に飲酒できなくなる可能性だってある。ここいらが潮時なのだ。

2軒目に伺った「agenico」の店主に日本酒を飲みたいことを伝えると、すぐ隣の「華乃庄」「日本酒じにあ」を勧めてくれた。

が、華乃庄は隣からでも満席であることが分かるほどに客の影が見える。これは戸を引くよりも早く断られることが目に見えている。万に一つの望みをかけて、日本酒じにあへ向かう。ガラス越しに店内を見やる。

人の影はまばらだ!

思わず頬が緩みそうになるが、テーブルに置かれた「予約席」の文字に肩を落としてしまう。さあどうしたものか、屋台街をぐるぐる回って探してもいいのだが、なんだかそういう気分ではない。

これはきっと、ここらで河岸を変えるべしと、酒の神様が言っているに違いない。

数杯酒を飲んで、良い感じに酔いが回っていたからか、判断は早かった。さっと屋台横丁を後にして、ホテルのある東武宇都宮駅方面へと向かうことにした。何か当てがあるわけではない。東武側のほうが栄えているに違いないという勝手な思い込みでしかないのだ。

ぽてぽてとアーケード街を放浪すること数刻、私の呑み屋センサーがびっと反応した。店の軒から大きくはみ出る形でテーブル席が用意され、そこに無数の飲兵衛が語らい、笑いあい、蠢いている。ここしかない。

最後の店はここ、魚田酒場に決めた。(上の写真は翌朝撮影したもの。ご承知おきいただきたい)

tabelog.com

店の前は相当に賑わっているのだが、店内のテーブルとカウンターに客の姿はまばらだ。外で飲んだほうが気持ちいいのだろう。入店前に、今は揚げ物が出せないがいいかと確認され、二つ返事で快諾する。もう3軒目だ。この年になるとあれこれ食べると翌日に響く。

 

刺身盛りは1人前から出してくれるのがありがたい。イカの塩辛もそこまで塩っ辛くない。色身に反して薄味で、酒の邪魔をしない感じがよい。

一杯目はハイリキ。ひっきりなしに注文が飛び交うこの場では、店員の足を止めて注文することを躊躇してしまう。ハイリキのような、飲み手が自ら注ぐやり方のほうが、却ってやりやすいというもの。

さて。折角魚が食べられるのだから、ここでは日本酒を注文しなければ。逡巡ののち、十王蔵の醸造酒が一番リーズナブルだったので、それを頼むことにした。栃木にいるのに茨城の酒である。

これがまあ旨いのなんの。特別な香りや味わいがするというわけではないのだが、なんというか、ツルンと滑らかな心持ちなのだ。酸があるとか、甘みが強いというわけでもない。これぞ「食中酒ど真ん中」といったところか。

正直これを飲めただけでも今回のはしご酒は大成功だと言える。ついさっきまでは、店員を呼び止めるのは忍びないと言っていたはずなのに前後撤回。ついつい2杯、3杯と頼んでしまった。

予定通りこれで仕舞にしないと、逆にこの心持ちがしぼみかねない。これはまた遠征する口実ができた……軽やかな気持ちで酒場を後にして、私はホテルへと歩を進めた。



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