手元にウイスキーやら日本酒が手元に届いたとき、まずどうされますか?
ノンモーションで口に含める方もいるでしょうが、そこまで多くはないでしょう。まずどうするか。まず匂いを嗅ぐのだと思います。
一説によると、人の知覚に占める五感それぞれの割合は、味覚1.0%、触覚 1.5%、臭覚 3.5%、聴覚 11.0%、視覚 83.0%と言われています*1。 例えば、賞味期限が怪しい食品があったとして、それがまだいけるのか、もう駄目なのか、判断の材料としても「匂いを嗅ぐ」行為は行うでしょう。それだけ、匂いが発する情報は、小さいものではないのです。
今回はウイスキーの匂いにフォーカスを当てて書き連ねていきます。
あの匂いはどこから来ているのか?
ウイスキーの匂いとして代表的なものといえば「煙っぽい香り」ではないでしょうか。『スモーキーフレーバー』や『ピーティー(ピート香)』とも呼ばれるあの香りは、様々な要因がありますが、その中の一つとして原料である大麦を燻すことによって匂いがつくということが挙げられます。
ウイスキーを作る際、原料となる大麦はそのまま使うのではなく、一度水に浸し、発芽させたものを乾燥させます。その乾燥の工程で使用するのが泥炭(ピート)と呼ばれるものです。
泥炭はその名の通り「炭」であり、植物の枯れたものが蓄積してできたものです。可燃性があり、ウイスキーの本場スコットランドでは、冬の暖房器具の燃料としても使うことがあるそうです。
大麦を乾燥させるときに泥炭で燻すことで、その匂いが大麦につき、あの独特の煙っぽい香りが生まれていくということなんですね。
また、ピートだけで乾燥させると香りがどうしても強くなりすぎるため、タイミングや量などを調整しながら、無煙炭なども使い分けて乾燥を行っているそうです。
我々が今嗅いでいるあの香りは、現在と過去のマリアージュといっても過言ではないのですね。
今回は以上です。
読んでいただいてありがとうございました!
*1:『産業教育機器システム便覧』(教育機器編集委員会編 日科技連出版社 1972)