長い歴史のあるウイスキー。
そのため昔から使われてきた言葉も多く、それによって、ちょっと難しそうで手が付けにくいという印象を持った方もいるんじゃないかと思います。自分の備忘もかねて、解説を書いてみようと思います。
本日は『年数表記』についてです。
年数表記の説明……その前に
――その前に、ウイスキーの製造工程について簡単に説明を。
サントリーお客様センター「ウイスキーの作り方を教えてください。」より
ざっくり説明をすると、原料となる麦やトウモロコシなどの穀物を糖化させ、酵母を加えて発酵させます(これにより醪(もろみ)が出来あがります)。この醪を蒸留し、樽に詰め、熟成させることでウイスキーが出来上がります。
ごく一部「ニューメイク」と呼ばれる蒸留したての、熟成を隔てていないウイスキーが出回ることはあるものの、基本的には一定の熟成期間が設けられます。そのなかで、樽を経由してウイスキーは周囲の空気を含み、また、樽から染み出る成分などをまとうことで、我々の手元に届いたときの色・香りを身に着けるのです。
ウイスキーの年数表記は、熟成の工程と密接な繋がりがあります。
どこに書いているの?
基本的に年数はラベルに記載があります。以下の左図はエドラダワー10年なのですが、これの場合は表ラベルの下に【10】と書いているのが分かるかと思いますが、これが年数表記になります。
ラベルはまさしくブランドの顔ともいえるものですので、銘柄によって種類が豊富です。右図の戸河内は「Aged 8 years」とありますね。
年数表記は何を現しているの?
では、ラベルに記載のある年数はいったい何を現しているのかですが、これは
「最低何年以上熟成させた原酒を使っているのか」
というのを示しているのです。つまり上記のエドラダワー10年については、最低10年以上熟成させた原酒を使用しているということになります。
反対に、年数表記のないものも存在しています。「ノンエイジ」と呼ばれているものであり、こちらについては年数表記がないため、最低何年熟成のものを使用するという決まりがありません。
あまりウイスキーを飲まない方だと「熟成年数が長い=いいウイスキー」と思われる方も少なからずおられるでしょう。前の自分もそうでしたw 確かに熟成を重ねることでニューメイクの時の刺々しい味や香りが丸みを帯び、原酒に深みが増してくるでしょう。一方で、ウイスキーは基本いくつもの樽の中身をブレンドしてひとつの銘柄をつくることになります。
(前略)
ウイスキーのおいしさは、ブレンダーの優れた技術によって、はじめて姿を現すことができます。通常のブレンデッドウイスキーでは、20~40種類の原酒が混ぜ合わされています。しかし、ブレンドさえすればどんなやりかたでも必ずおいしくなるというものでもありません。どんな原酒とも調和する優等生的なモルトウイスキーもあれば、中には個性が強烈なために、うまくブレンドしないとその個性が生きてこないものもあります。ブレンダーは、こうした原酒の個性を見抜いて、慎重にブレンドし、優れた製品を創りだしています。
(後略)
https://www.suntory.co.jp/whisky/museum/know/blend/yakuwari.htmlより
理想の一本を作るために、年数にこだわらずに様々な個性を掛け合わせることが必要になってくることもあるのですね。
年数にこだわらない理想の一本を探しましょう!
上にも書きましたが「熟成年数が長い=いいウイスキー」と思ってしまうこともあるかと思います。しかし、あくまで年数は、その一本の様々な顔の一つでしかないと考えます。数多ある銘柄の中から、自分に似合う一本を探すには、視界を少し広げることが必要なのでしょうね。
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本日は以上です。
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